<2019年春の伝道礼拝>第2回(5月26日)説教要旨

<2019年春の伝道礼拝>第2回(5月26日)説教要旨

愛するとき……–民族差別のない平和の奇跡が創られる

サムエル記上 25:32~35   
マタイによる福音書 5:9
「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる」
  
高麗博物館名誉館長、文化センター・アリラン副理事長
宋富子(ソン・プジャ)先生

<メッセージ>
はじめに

 アンニョン(安寧)ハセヨ! 皆さんおはようございます。
 この祝福され、恵まれた礼拝の時、異なった二つの民族の私たちの心が一つになって、イエス様の聖霊のみ力によって私たちの心が燃え、平和を創れるよう祈ります。

出会いは神様の摂理、李仁夏(イ・インハ)先生との出会い

 私は在日朝鮮人二世として生まれました。そのため小学校時代、周りの子どもたちからいじめられ、3年生からは死ぬことばかり考えていました。
 結婚して川崎市に住むようになり4人の子どもの親になりました。子どもが通う保育園で在日大韓基督教会、川崎教会の牧師で園長の李仁夏先生の父母会での挨拶の言葉「自分を愛するように自分の隣り人を愛しなさい。というみ言葉にそって保育します。自分を愛する意味で、韓国朝鮮人の方は民族名の本名を親子で使用して頂きます。今は植民地時代ではありませんので自由です」。
 私にとっては民族名など、とんでもないことです。植民地って何だろう。李先生の言葉が電流のように体に入ってきました。自分を愛するように隣り人を愛する。凄い凄い言葉です。その夜は朝まで眠れませんでした。私は社会の仕組みも、歴史も何も知らない。自分の無知に愕然としました。
 翌日、聖書研究会に出席しました。担当は、小杉尅次副牧師です。その声は初めて聞く優しい人間の声でした。今村秀子(60歳)おばあちゃんのお祈りにびっくりしました。
 両手で顔を覆い泣きながら「天の神様、どうか日本人の罪を赦して下さい。オモニ(母)さんたちが神様の聖霊のみ力によって本当の名前で生きられるようにして下さい」。指の間から涙がこぼれています。お二人の生き様を見て、6ケ月後31歳で受洗しました。

民族差別を無くして平和を創ることが使命と確信する

 私の生命は神様の愛で創られた。私は差別されるために生まれたのではない。自分を愛して隣人の日本人を愛するために生まれたのだ。「差別を無くして平和を創る」ために、イエス様は私を選んで下さったのだと確信しました。
 私は中学を卒業していても、漢字も読めない、割算、掛算も出来ない学力でした。
 夫の仕事は自動車修理工場を経営し、従業員が7人住み込みでしたので、家族も含め13人分の食事作りに追われる毎日でしたが、心が熱く燃えている私は夢中で聖書を読み、画用紙にみ言葉を書いて台所や柱、トイレ、天井に貼り、覚えました。
 「天の父は、求める者に聖霊を与えてくださる。」(ルカ11・13)。
 これからは神の子として気高く生きたい、人間らしく、やさしい気持で平和を創る人間になりたいと思いました。宝石と日本の高価な着物を処分して歴史の本を買って学びました。
 1970年、在日韓国人朴鐘碩(パク・チョンソク、19歳)が大企業の日立製作所を日本名で入社試験を受け合格したのですが、韓国人ということで不採用になり、裁判を起こしました。李先生や教会の青年も頑張り、多くの牧師、特に中平健吉弁護士の支援、キリスト者の支援は大きく、3年半で勝利しました。この運動は全国に広がり、民族差別撤廃運動の先駆けとなりました。
 私も初めてプラカードを持って銀座をデモして叫びました。社会の悪に抗い、正す生き方こそ平和を創る一歩と体で知りました。
 その後も、児童手当、川崎信用金庫融資問題や市営住宅入居、川崎市教育委員会との交渉など、数々の民族差別撤廃運動に関わりました。

日本は在日朝鮮人にとって人権では生き地獄

 日本人の一人一人は優しい良い方ばかりです。社会の差別の構造と制度は政権が作ります。しかし行うのは、加害の真実の歴史を学んでいないで、偏見を植え込まれている市民です。子どもは親を真似ていじめます。大切なのは愚民化(無知)政策に気づいて歴史を知り、神の愛に生きることです。
 日本の植民地政策で、日本に約230万人の朝鮮人が自分の土地を奪われたり、強制連行で働かされました。戦後、大半の朝鮮人は祖国に帰国しましたが、65万人が日本に残りました。神様が日本の平和を創るために残して下さったのだと信じています。戦後日本が在日朝鮮人に行った一番酷い事は1947年5月3日、日本国憲法が施行される前日の5月2日、突然に、天皇の最後の勅令として、台湾人、朝鮮人は外国人とみなすとしました。その意味は、朝鮮人は日本人とされて多くの者が戦死しましたが、軍属や負傷者、遺族に対して、保障や遺族年金等から除外するためでした。
 また外国人登録令を公布し、指紋を押捺させ厳しく取り締まりました。政府は植民地支配を反省して、日本に住む朝鮮人に対して、違いを認め合う共生共存でなく、治安対象と見、排除と同化政策を行いました。
 戦後74年を迎えた今も在日朝鮮人の85パーセントは日本名で出自を隠して生きています。ありのままで生きられない在日の心身症は日本人の5倍です。未だに特別永住外国人の朝鮮人に参政権も付与しません。先進国で付与していないのは日本だけです。これは人としての最低の権利です。納税は課せられています。
 大学で教員資格を取得しても、公立の小、中、高校の教員になれず非常勤講師です。現在も、結婚、就職、入居と多くの見えない差別と偏見のために日本名で日本国籍を取得します。日本国籍の姪は私に電話をかけてきて「長男が日本人と結婚するの。結婚式に民族衣装を着て来ないでネ。朝鮮語を絶対話さないでネ」と頼みます。

ぜひ文化センター・アリランの賛助会員に~1日28円、1年1万円~

 私は以前、高麗博物館に「一人芝居」をしながら20年間関わりましたが、2007年に文化センター・アリランの理事に就任し、現在副理事長をしています。アリランの目的は日朝の真実の歴史を伝えて、市民と在日が出会って交流し、信頼関係を築いて「民族差別のない平等で平和な社会を創る」ことにあります。韓国・朝鮮と日本に関する近現代史の歴史書や資料を5万点所蔵する私設図書館です。
 在日朝鮮人が出資し市民と共に運営する図書館は日本で初めてです。アリランは日本の歴史教育に欠けているところを補完する場であり、日本の中学、高校、大学のゼミの実習の場でもあります。日朝日韓関係を和解に導き、自由な交流を実現するためにも、なくてはならない場です。
 運営はすべて会員の会費と寄付で賄われています。1日28円、1年で1万円の賛助会員です。10万人の心に繋ぐと1年で10億円です。東京にすぐに建設できます。
 皆さん、美しいパンフレットの中の小海牧師の賛助会員へのお薦めの言葉を読んで下さい。イエスさまの愛に溢れています。
 この活動をぜひ霊的に受け容れて下さいませ。「何をするにも、人に対してではなく、主に対してするように、心から行いなさい」(コロサイ3・23)。
 皆さんの隣人愛を信じます。